師走2018

先生が走る

せわしない時期が到来しました。漢字では忙しないですが漢字はあまり使われません。昔は(昭和の中頃までか)イベントと言えば盆と正月でした。

身に着ける肌着や履物などは、破けたり壊れても繕って済ませ新調するのは暮れだけであり、ちょっと贅沢な食事は盆と正月が定番でした。

寒い地方では冬になると足袋(たび)を履くのが常であり、繕ってボロボロになった足袋を捨て新しいものをおろした気分は爽快でした。これらを話題に取り上げて今では「365日、盆と正月」と言われています。

当時、物が壊れたら修繕して使うことは誰にも共通の意識であり、物を大切にする気持ちが育まれました。

やがて、商業活動が活発化し物も大量生産の時代になると、「消費者は王様です」のキャッチコピーが喧伝され使い捨てが一般化しました。修繕に費やす時間よりも働いて賃金を得てそのお金で買った方が得策でした。

年内にけりを付ける

江戸時代、掛け売りが一般化していて、暮れに借金を清算することが債権者、被債権者の一大イベントでした。

そのため、師走を迎えて駆けずり回ったことでしょう。

落語ではこの辺りの人情の機微を面白おかしく芸にしています。

髪を整えて正月を迎える習わしで床屋さんは大晦日の晩は寝ずにお客へのサービスを続けたそうです。

今は11月に入ると早割、早得などのフレーズで人心を煽って晦日、大晦日が最大の山場になることは少なく、逆に銀行などは定休日になるほどです。

生活風習の変化

正月にはお店が休みになり、食料の買い付けができなくなるのが普通でそのため、日持ちのするおせち料理を作ったものです。欧米の思想がまだ定着せず、頑なに日本独特の風習が残っていた時代には、他と異なる行動は慎むことが一般化していました。

1ドル360円だった時代はけっこう長く続き、外国への旅行もままならず外との交流は格段に少なかったのです。平準化思想はお上のお仕着せだったでしょう。

それがコンビニエンスストアの出現で生活が一変しました。長ったらしいカタカナを使う人は無くなりコンビニが通例です。正月は静かに一年の計を立てるというより、町に出てにぎやかに過ごすことが「あり」になってきました。

古い人間からは正月からお金を使うと年中、お金が出ていって貧乏になると言われました。今ではそれはケチなだけではないですかと一笑されます。

それでもデパートなどは三ヶ日は店を休んでいましたがコンビニの年中無休の影響で正月休店を決め込むことが激減しました。また、「うつくしき根岸の春やさゝの雪 正岡子規」にあるように正月には雪が見られたようですが、降雪は少なくなりました。

12月といえども他の月と何ら変わらなくなってきています。あせらず新年を迎える準備をしたいと考えています。

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