四季の恵み
日本は四季に恵まれた国と言えましょう。寒い冬に備えなければならないことは余分な仕事とも言えますが、それは人々に緊張感を植え付けます。
人は怠けものの動物なのでだらだらと過ごしがちです。夏の暑さにはしゃいでもいいけれどはしゃぎっぱなしはいかんと、自然はそこを叱りつけてくれます。
『赤とんぼ』作詞:三木露風、作曲:山田耕筰
花を愛でる
山間・寒冷地帯を除けば、日本では梅、桃、桜の順に花が咲きます。また、秋にはイチョウやもみじが鮮やかに紅葉します。
春には桜前線、秋には紅葉(こうよう、もみじ)前線と呼ばれ季節の風物として毎年、語られます。
桜前線は南から、紅葉前線は北から移動すると言われますが、ヒートアイランド現象のせいでしょうか、南よりも首都圏で先に桜が咲くことがあります。自然や月、太陽をあがめて日々、暮らす大衆の生活は日本独特なのでしょうか。
行楽
レジャー、リクリエーションなどの用語は戦後、欧米からの取り入れと思われますが野点(のだて)、茶会、花見などは古来から使われています。
他にも江戸時代、地方でも黒川能、越谷薪能、伊勢歌舞伎、こんぴら歌舞伎などが盛会に催されました。
今回は果物や木々に咲く花にまつわる楽しみについて語ります。
狩るの言葉
鷹狩、ウサギ狩り、罪人を捕らえるのに狩るという言葉を使いますが、花や草木を観賞するために尋ね探すとの意味にも狩るを用います。
果樹園などに入場料を払ってリンゴ狩り、ミカン狩り、ブドウ狩りをします。料金の対価になにがしかの果物を入手してきます。
一方、秋の観光の一つに紅葉狩りがあります。勘違いはどこにも誰にもあるもので、紅葉狩りに出かけ押し葉にするもみじの葉を山ほど持ち帰る人もいるそうです。
自然の美しさを鑑賞するのに、一方は花見、他方は紅葉狩りというのも妙なものです。花見と言っても桜見とはめったに言いません。我が国では花と言えば桜なのでしょうか。
春の華やいだ花見は心が浮き立ちますが、秋のイチョウやもみじの紅葉もまた、格別です。甲乙つけがたいとはこのようなことをいうのでありましょう。
紅葉名所
鮮やかな紅葉の出現には条件があるようです。昼夜の気温差が大きく、葉に十分な直射日光があたること、適度な湿度があって夏の気温が高く雨量が多い年ほど美しい紅葉が期待できると言われています。
全国の色づき情報・紅葉名所が公開されています。気の早い向きには北に出かけたり、少し高い山に出かけ、晩春にならなければ時間が取れない人には南西に出かけるとよいでしょう。
一年を通じて防寒具など要しないというのも気が楽でいいですが、少し辛抱した人には褒美として見事な紅葉が見られます。四季のある我が国ならではの特権です。今年も凶暴な自然に悩まされました。穏やかな季節には美しい自然に浸って次の活力にしたいものです。