日別アーカイブ: 2022-03-12

他人の出世

関係度による

妬み(ねたみ)

古今東西、老若男女を問わず他人(ひと)が出世すると複雑な思いに駆られます。

人は多くの煩悩を抱えていて妬みや嫉みから脱却するのは至難です。どんな賢人であろうと嫉妬心と無縁とは言い切れまい。

それはその人と自分との関係度や出世の度合いによって決まったパターンに分けられます。

恥を忍んで自分の経験や身近な人の対応をまとめてみます。まず、出世する人の力量が自分と大差ないと考えられる場合は穏やかではありません。

それに隣人、同僚、同級生がワンランク上昇気流に乗ったときも複雑な思いが交錯します。

自分の年収が500万円で同レベルだった知り合いが600万円の年収を得る出世を遂げることはかなりのショックでしょう。大差の額たとえば1500万円ですと嫉妬の度合いは低く大きなショックはないでしょう。自分よりちょっと高額が一番、いまいましいのです。

時代によりけり

氏より育ちという言葉もあります。人々が自由闊達に思い描いた人生を歩める時代は妬み心も少ないでしょう。私の幼少期は今ほどモノに恵まれた時代ではありませんでした。底意地の悪いいじめや嫉妬心は少なかったですが、他人への悋気は日常茶飯事でした。他人が出世したり新しい世界に踏み出してもなかなか、認めたがらないのが常でした。

婿は一生、婿

半世紀も前の話ですが、婿にいった者は一生、「〇〇家の婿」と言われ続けました。地方の市役所に勤め一人娘と結婚し、やがて課長に昇っても近隣の人々は婿と呼んでいました。

婿に行った目端(めはし)がきく後輩がいて、『行った先が遠縁で同姓だから行ったんだよ』と語っていました。別の話ですが、やりて奥さんがクリーニング取次店を開業し成功を収めて立派な洋装店に衣替えしても口さがない人々は「洗濯屋のおばさん」と長年、旧称を使っていました。

出世の階段(愛宕神社)

相撲協会はそれなりに出世した力士が引退すると親方と呼ばれる役職に付かせ、地方巡業会場の整理やテレビ解説をする習わしがあります。親方株を取得して「〇〇親方」と呼ばれるほかに、現役時の地位で「元大関〇〇龍、元前頭3枚目△△山」などと呼称されます。

古い時代、現役時の四股名と地位を紹介するとき、ある時から引退時の地位から最高位で呼ぶように改められました。大関まで昇進しケガをして成績が振るわなくなり十両に落ちて引退した場合でも元大関と名乗ることができます。晩年は番付が下がることが多いです。最高位を名乗る決まり事は優しさのある計らいといえましょう。

「△△家の婿」よりは「〇〇市役所厚生課長」の方が通りがよく、その人の評価が平均点以上かどうかにかかわらず最高位で呼んであげたいものです。民度と言えば麻生元総理大臣が思い起こされますが、民度には優しさが含まれているものです。

最後に

妬(ねた)み、嫉(そね)みなど漢字で書くと女へんが多いです。女性には男にできないことをやってのけるものがあります。

男性は女性の力を恐れてこのような字を当てたのでしょうか。時間があったらここら辺りを深掘りしたいものです。