再びGAFA(ガーファ)

大きいことはいいこと

ひと頃、『大きいことはいいことだ』のコマーシャルが一世を風靡しました。作曲家の山本直純氏が気球に乗って例のフレーズを連呼するのです。

大きいもの、重厚なものがひと際、珍重された時代です。

必要最小限を生活哲学にして、つましく暮らしてきたなか、ようやく華やかさを生活に組み入れるゆとりが芽生えた頃でした。

これと相まって、ひたすら大きいものに突き進もうとするスローガン行動に火がついたようにも感じます。

大企業、官庁、中央、高度、集約、上級、豪壮などの言葉が躍り始めました。国、会社、組織が一番であれば一人当たりの分け前など深く考えが及ばないよう魔法にかけられていたのでしょうか。

大きいことにかげり

恐竜は大きいが故に滅んだとも言われています。会社の資本金が大きければ信用が高いという評価に対し、従業員が多ければ一般に資本金が大きい傾向にあり、一人当たりの持ち分を考えると、ただ規模が大きければ良しという考え方が揺らいでいます。

江戸時代、城持ちの大名でないと見下され涙にくれた藩主がおり、同情した藩士が脱藩してバカにした藩の参勤交代の列に突入し、お鑓を奪って意趣返しをする痛快時代小説《酔いどれ小籐次留書 御鑓拝借》があります。

古今東西、規模は良し悪しを測る一つの尺度であったでしょう。今は借家住まいでも本人の器量で縁組が行われる時代になっています。もうすぐ終わるドラマで、「結婚するなら堅気(かたぎ)のひと」というセリフが何度となく出てきました。

そこにはまともな職業に従事している人という意味が込められているようですが、まともとは何を意味するものでしょう。

再びGAFA

GAFAとはグーグル(Google)、アップル(Apple)、フェースブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の米国IT企業4社のことです。

規模が大きい組織は信用が高く信頼に足るという考えが染みついた日本の風土ではGAFAの商売はピッタリでしょう。「多くの情報をタダで検索できる仕組みのどこが心配なの」と聞かれると丁寧な説明に窮します。

本当のことが語られない国会での役人答弁ひとつをとっても「大きいことは正義なり」が怪しげであることがわかります。すでに最も難関と言われる学生の将来の人気進路が今までとはかなり変わってきているようです。

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