喪失感
暮れになると今年、おなくなりになった方々の記事が多くなります。新聞や週刊誌には生存中の功績を称え、惜しい方を失いましたという表現が満ち溢れています。
坂東三津五郎 、加瀬邦彦、北の湖敏満、水木しげる、野坂昭如の各氏がお亡くなりになりました。
紙面では巨星落つ、実力派俳優ご逝去、傑物逝く、英雄生涯を閉じる、首領極楽往生、首魁冥界に旅立つ、不出生の天才永眠などと最大級のタイトルに飾られることがあります。
週刊誌の特集に掲載された方々のみならず、他の方々も立派な業績を残されました。ご冥福をお祈り申し上げます。
プロ野球やサッカーのスポーツ界では現役引退された選手、ドラフト会議を経て新規に加入し来期の活躍を期待される選手と悲喜こもごもです。
期待感と平均化
プロ野球では、20~30年前には考えられなかったことですが、高校を出ていきなり活躍する選手が多いことに驚かされます。昔は高校卒業後3~4年、ファームでじっくり実力を付けて上がってくればよいという風潮がありましたが、最近では加入して即刻、活躍する選手もいます。
時代が好転し、高校においても練習場やトレーニング器具が整い、高校野球の実力がプロと大差なくなったのでしょうか。
雪に閉ざされる北国において、甲子園で優勝することはかなり困難でしたが、室内練習場が用意されたり、全国から人材を集めることが可能になって、北海道からの優勝校が誕生しました。
懐古趣味
懐古趣味はひやかしの対象になり、よくは評価されませんが暮れにあたり、懐古趣味に浸ってみます。ご容赦ください。それでは、最近見られなくなったことを挙げてみます。
なくなったものや見られなくなったもの
漏斗(じょうご)
ポラロイドカメラ
カセットテープ
レコード
七輪
ブラウン管テレビ
テレビのチャンネル
耳あて
膏薬
三輪自動車
真鍮の蛇口
じゃり道
外で遊ぶ子供
子供の飛び出し注意ポスター
元を取ったという言葉
車の暖機運転
赤丸ポスト
列車タブレット閉塞機
うだつ
自転車バックミラー
塩小売の看板
大塚のボンカレー看板
白墨(チョーク)
列車行先版
開閉式方向指示器
エンジン起動クランク棒
懐中時計
手押しポンプ
食べてすぐに寝ると牛になる
すりこぎ
蚊帳(かや)
初物を食べると75日寿命が伸びる
夜に口笛を吹くと蛇が出る
抜けた下の乳歯を屋根上へ投げる
上の乳歯は床下へ投げる
夕焼けは晴れ、朝焼けは雨
手の冷たい人は心が温かい
風邪は人にうつすと治る
秋茄子は嫁に食わすな
茗荷(ミョウガ)を食べると物忘れする
敷居を踏むと出世しない
茶柱が立つと縁起が良い
湯たんぽ
風呂敷
夜に爪を切ると兄弟ケンカになる
半鐘(火の見やぐら)
洗濯板
新品靴を座敷で履きそのまま外に出ると浮気する
雑感
ものが生まれて、やがては消滅しますが、コストパフォーマンスの高いものが残り、低いものは早く消えていきます。秋刀魚を焼いた七輪は一般家庭では見られなくなりました。団扇をそばに置いて、旬のサンマを焼く光景は秋の風物詩でした。
車社会が到来するまでは、自転車やバイクの天下でした。当時、自転車にバックミラーを付けて颯爽と走り抜けるのが、ささやかな贅沢でした。
その後、ボチボチ、車に乗るようになり、チョークを使ってエンジンを始動し、冬には暖機運転をしてから車を走らせました。それらの中で技術の進歩により見かけなくなったものが多数あります。省エネが叫ばれ、湯たんぽや風呂敷が見直されています。
限りある資源を大切にする機運が芽生えたことはうれしいことです。科学が進歩し、論拠のない民間伝承や風習・因習などは少なくなりつつあります。まじない、洒落、戒めなどで幼子を啓蒙する内容は傍観できますが、非科学的だったり、差別的な表現は消滅することでしょう。