危険な風潮
最近、電車や公道において凶器を使った事件が多発しています。
日本経済がまだまだ未成熟だったころ、政党の党首が日比谷公会堂で演説中に刃物で刺殺される事件が起き、生々しい写真で報道され一大センセーションとなりました。
これを機に刃物を持ち歩くことが禁止され世情が暴力は許さないという機運が盛り上がりました。今の銃砲刀剣類所持等取締法につながったようです。
板前さんが職務上、持ち歩いていたのに警察から事情を聞かれたなどの話を聞いたことがありました。
諸外国では部族間の争いや小さな諍いに銃砲が使われることもありますが、我が国ではナイフが多いです。身を守るには外敵よりも有利な武器を持つという考え方が成り立ち、国と国との軍拡競争にもつながります。
電車内の凶器による傷害沙汰では高齢者や女性が被害者になりがちです。このようなケースでは、被害者と加害者に特別の関わりはなく、ただ居合わせたに過ぎず恐怖心を煽ります。
表に出るとき、このまま自己責任という風潮がまかり通れば戦国時代に逆戻りして、かばんには目つぶし、催涙ガス、スタンガン、小銃などを所持して自衛しなければなりません。
困ったことに愉快犯や模倣犯が跋扈して負の連鎖反応を引き起こしています。脚色することなく報道することが大切ですが、このような行為にはもっと厳しく指弾してもいいのではと感じます。
秀吉の刀狩り
歴史的に刃物の携行を禁止する機会は何度かありましたが、もっとも大きなものとして秀吉の刀狩りではないでしょうか。
治安維持や資源の再利用は建前でその裏には、もっと重大な意図が隠されていました。
次は明治維新のとき、最後がGHQによる刀狩りです。そのほかにも悲惨な事件が起きるたびに改訂が行われたと思われます。
防止策
安全な社会でなければ自衛もやむを得ませんが、人々の生活に疑心暗鬼を生みギスギスした雰囲気になります。
公会堂における刺殺事件後、不要な刃物携行にはマスコミがこぞって警鐘をならしました。その甲斐あって巷でも反暴力への思いが高まりました。
身近な例では、野外活動にリンゴの皮をむくための小刀(こがたな)をリックに準備したところ、皮は家でむき塩水につければ変色しないことを周りから教わり不測の事件に繋がらないようにアドバイスを受けたものです。
このように凶器になりうるものは持ち歩かないようにみんなが気を配っていました。歴史に学び常日頃から危険な芽をつむ運動をよみがえらせたいものです。