万葉集から山橘(やまたちばな)を歌った一首をとりあげます。山橘は、ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑低木の藪柑子(やぶこうじ)にあたります。古くは赤い果実を山のミカンに見立ててヤマタチバナと呼ばれていました。タチバナはもともとコウジミカン(柑子)の古名です。
樹高は30cmほどで万両(まんりょう)、千両(せんりょう)と同族で十両(じゅうりょう)とも言われています。真冬に赤い実を付け、商売繁盛の木として人気が高く、寂しい冬の庭に彩りを添えています。
『読み』このゆきのけのこるときにいざゆかな やまたちばなのみのてるもみむ 『歌意』(雪溶けが始まり)まだ雪が少し残っている頃にでかけよう。山橘の実が(雪の白)照り映えているのを見るために。 |
寒椿など冬に咲かす花は心強いです。寒い冬になって食べ物がなくなると、小鳥はたった1本のマンリョウの実をついばみにやってきます。