作者と作品にお別れ

文学作品の読み方

文学作品の読み方は人それぞれです。何かテーマを決め、その周辺をひとりの作家に関わらず横断的に読みほぐす方法があります。

一方、特定の作家を決めその作家の作品を縦断的に読む方法があります。当方は後者に属します。

この場合は多くの作品を発表している作家に偏りがちですが、長い期間にわたり楽しむことができます。

このたびの作家の作品はテレビドラマにもなり放映されたようですが、気が付きませんでした。その頃は藤沢周平、平岩弓枝、池波正太郎の作品に気を取られていたのでしょう。

作品の終結

ここ2~3か月、江戸時代の武家・町人の暮らしを描いたシリーズもの、北海道出身の女性作家の作品を追いかけました。

見習いの職人からスタートし、身分違いではないがきっぷのいい美人芸者との異質な組み合わせの思いがけない恋愛を成就させ、地道な生活を営む通い髪結い職人・同心の小者とその周辺を取り巻く人々の生き方がテーマになっています。

職人・芸者夫婦に息子が生まれ、主家の武家娘との交流が読者を惹きつけます。


別式女(べっしきめ:江戸時代、
貴人女性を警護する女武芸者)

二人の幼児期、幼少期、少年期を経て山あり谷あり修行の身の青年期を乗り越え、最大難関の身分違いの恋をクリアしてハッピーエンドを期待しながら読みました。

二人が人生の荒波に揉まれながらも登山ならば9合目まで到達していました。読者も否、私は次の進展を期待しましたが、作家が乳がんでお亡くなりになりました。作家本人が一番の心残りだったことでしょう。

さいごに
総合南東北病院の
ホームページより

作家のプロフィールや作品のあらすじを調べてから読書に入ればこのような不完全燃焼を体験することはないでしょう。それは楽しみを半減させます。

修行中の別式女と絵師のほのかな恋情も読み手の心の中で暖められ大切にされることでしょう。

作品の完結の前に作品の終結を迎えてしまいました。充実した3か月をありがとう。

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